22話は、もう受験&バレンタインの話でした。早いよ。。
今回もツイッターで書いた感想をもとに大幅に追記・修正しまとめたものです。ネタバレ有りです。
今回は梓視点メインの話。
梓視点の回はちょっとせつなく感じさせるシーンもあり、今まで好きな話ばかりでした。今回も同様。
脚本:花田十輝さん、絵コンテ・演出:高雄統子さん、作画監督:西屋太志さん。
卒業が近づき、もっと話をせつなくさせてくると予想してました。
けど、当の唯たちは、結構いつも通りのノリ。
一緒の大学に行く事を目指し、4人で一緒に勉強しているからでしょうか?(後述)
でも泣けました。泣くのを我慢したのですが(笑)。
泣いてしまったシーンは2つ。
まず1つめは、軽音部の皆で部室の小さな窓から雪の降る外を見ているシーン。
小さなどこにでもあるような日常世界を見ているだけだけど、このメンバーで見ていると楽しい&心地よいという感じがよく出ていました。
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梓「なんかいいですね。みんなでこうしてるのっていいですね。今日は朝から寒かったですけど、先輩たちと一緒に居るとなんか寒くないって言うか…」
前に座っていた唯がふいに梓に寄っかかり、手を軽く握り、梓を見上げ笑顔で言います。←この辺りで泣きました。
「あったかあったかだよ。あずにゃん」と。
そして皆で「あったかあったか」と言い合い・笑い合いながら、更に近寄り体を押し合います。
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春には一人になってしまう梓を気遣う面もあるように思えるシーン。
2つめは唯たち4人の第一志望の受験結果を知る最後のシーン。
話のアイデア・演出・作画等素晴らしい出来でした。
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掲示板の受験結果を見る予行練習も行い決意を決めた唯たち4人は、屈んだ状態から一緒にジャンプ(?)して掲示板を見ます(スローモーション気味でのそれぞれの表情もよいです)。
そして次の瞬間は、梓たちの教室の授業中のシーンに移ります。
憂が携帯を手にし下を向き泣いている(たぶん)ところを純が発見。
ハッとして梓を見ると、純の方を向く梓。気持ちがあがっていく少し上気した梓の表情(授業中なので抑えながらも、徐々に沸き上がるうれしく興奮した気持ちが表情や声にならない声で出てきてしまいます。その微妙な変化の作画・演出・声の演技が生々しくもありとてもよかったです)。
そして梓の携帯画面のアップ。そこには、つぼみから桜の花が咲くアニメの画像が4つ並んだ唯からのメール。梓の心の声「やった。やったーー」。
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ちっぽけな日常のドラマだけど、唯たち4人の思い、梓・憂の唯たちに対する思い、その2人を見守る純の気持ちが、次々と繋がっていくシーン。魅力的にリアリティももち表現されていました。携帯の使い方もうまかったです。
今回の話では、梓が唯たちにバレンタインのチョコケーキを渡すのですが、思っていたよりシャイに描かれていました。
そして、渡すまでの間、唯たちと心理的に距離があるように描写されていました。今までの関係を考えると、そこまで距離があるようには思えなかったのですが。
唯たちの卒業を意識し、ナーバスになってしまったからでしょうか? 自分の好意を表現し・受け取ってもらう事に慣れていないからでしょうか?
それとも梓がつくったチョコケーキを軽音部全員で食べたシーンで皆に受け入れられるような描写を効果的に演出するためでしょうか?
個人的に少しだけ違和感を感じた点でした。
今回は、梓と梓を見守る純の二人が、視聴者の視点に近い存在に思えました。
梓は、20話の感想に書いたように唯たちとの関係において、視聴者に一番近い存在に思えます。
(山田尚子監督も『メガミマガジン』10月号のインタビューで「その気持ち(視聴者のさみしい気持ち)を代弁してくれるのが梓だと思っています。」と話されています。)
そして、純は、なかなかバレンタンチョコを唯たちに渡せない+唯たち卒業で一人になる梓にヤキモキ&心配しながら見守る視点が視聴者に近く思えました。
純は、面白くよいキャラです。さっぱりしてて細かい事気にしなくマイペースだけど、ちゃんと周りも見れてます。唯たちが卒業して一人残されてしまう梓をその天然系(?)の洞察力と行動力でよい方向に押してくれるのではないかと思わせます。マイペースな対応だとは思いますが(笑)。
今回の梓・純・憂の3人の関係の描写は、唯たちが卒業しても、梓は完全な孤独にはならないと感じさせる前振りにもなっているように思えます。
他に今回感心したところ。
・背景美術でさみしげな心情を思わせる魅力的なカットも多かったです。冬の街や無人の部室等。京アニは冬の風景で語らせるのが上手な印象があります。
・もこもこスリッパを梓と純が、片足ずつ履いていました。ニヤニヤポイント(笑)。
・巻いているマフラーがそれぞれのキャラの特徴に合っていたように思いました(一期の話を観返したら、実は1期と同じマフラーでした。憂の魚の面白マフラーは去年のクリスマスに唯が買ってきたものですね)。
今回、大きめに気になった点。
唯たちが、ほぼいつも通りのノリだったことです。クスリと笑わさせるシーンも多く、そういう面では楽しめたのですが。
4人で一緒の大学を目指しているとは言え、卒業や別れを意識しなさ過ぎでは?と。
今回は、梓視点メインの話だったという事もありますが。
山田監督の『メガミマガジン』10月号のインタビューから等の推測ですが、ゆるいけど幸せな日常が続いていくようなイメージで作品を閉めたいからなのかなとも思いました。
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※『メガミマガジン』2010年10月号の監督インタビュー一部引用
「唯たちには寂しさに気付かずあっけらかんとさせていたいので、現実的な考え方ができる梓がとても大切なポジションにいます。ですので、第2期では梓の視点が多くなっています。ただ、先輩たちがいなくなることだけを意識させて、梓に悲しい顔ばかりさせると物語が重い雰囲気になってしまいそうで、避けるようにしました。」
「重々しくならず、軽い気持ちで最後を迎えてほしい」
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今まで2期では、唯たち卒業を想像させるせつなさを感じるシーンの話も多く、梓も一人残るため、現実的なせつない別れの傾向を強めに描き、終わらせてくるのかなと以前は思っていました。
しかし、唯たち4人は一緒の大学に行ける事になり、今回の話や監督の方針を考えると、そこまで重めな感じに描かず、少しせつない別れはあるけど、さわやかにゆるく終わらせるのかなと思えます。
個人的には、今まで2期の話を観てきた感じだと、別れはもっと現実的でせつない方が違和感ないと思えてしまいます。重々しくない方が、観るとき、気持ち的に安心は出来るのですが。
次回、次々回(実質の最終話)は、たぶん卒業の別れのせつなさも少しは多めに入る話になるのでは?と思われますが。
新作が観られなくなるのはとても残念ですが、どういう感じに終わっていくのか最後まで楽しみに見続けます。