「湯浅政明と仲間たち」第88回アニメスタイルイベント(2014.8.24):レポート

2014年9月5日(by キョウ) コメント0

8月24日(日)に「第88回アニメスタイルイベント 湯浅政明と仲間たち」に参加してきました。会場は阿佐ヶ谷ロフトA。
出演は、湯浅政明監督、伊東伸高さん(アニメーター、キャラクターデザイナー)、チェ・ウニョンさん(アニメーター、演出家)、辻田邦夫さん(色彩設定)、河野羚さん(美術監督)、藤尾勉さん(プロデューサー)の計5人。
司会は、アニメスタイル編集長の小黒祐一郎さん。

会場は20~30代くらいと思われる人が大方で、女性が3割くらいと多めでした。自分の周りに関しては、アニメーターらしき人たちが多く居ました。
以下、自分が興味を感じメモ取れた箇所の部分的なレポートです。

【注意】
  • 自分が取れた部分的なメモをもとに+記憶で補足してまとめています。
  • そのようなまとめなので、残念ながら、実際の発言内容や発言者の本意と少し違ってしまっている箇所もあるかもしれません。すみません。
  • 記憶力悪く知識多くないので、知らない点はネット等で調べてまとめています。
  • ( )内は主に自分による補足説明です。

 ※記憶違い・間違い等があれば、コメントや連絡でもください。


●はじめに

スタジオ地図のプロデューサーの方から一升瓶のお酒の差し入れがあり、出演者の皆さんはそれを飲みながら話してました。
(話には全く出ませんでしたが、もしかして湯浅監督はスタジオ地図の作品を手伝われているのかな?とも憶測。ただ単にマッドハウスの仕事で交流が深かったからかも?)


●第一部 公開インタビュー

第一部では司会の小黒さんが湯浅監督に公開インタビュー。
このインタビューは『アニメスタイル006』に載るらしいので、自粛気味にして特に印象に残った話を数点だけ上げておきます。

・こういう絵が描きたいというのがあるが、未だに辿り着けない。
 今も満足していない。発展途上。
 平面的なものが好きというわけではない。立体的にならない。そういう風に描きたいけど描けない。
・太平さん(大平晋也さんかな)の絵を見てから、パース強調の絵を描くようになった。
 どんどんパース曲がっていくと気持ちよい。テンション上がっていくと曲がってくる。
・『マインドゲーム』(2004年 劇場)のとき、天才と言われたけど”基本が出来てなくて感性でやっている人”と言われてるような気がした。
・元々わかりにくい(作品)のが好き。観てる人がこれはこういうことだとわかる感じがいい。そうした映画の観賞体験がある。
 『マインドゲーム』の頃からあったが、わかりやすくないとダメっていうのが嫌。
 世の中そんなにわかりやすくないのに、わかりやすく無駄の無い作品を求められる。
(しかし、その後の作品の反応から大多数の人に作品を届けたいとも思うように)
・今後は家族揃って楽しめるようなものをつくりたい。なかなか信用されないけど(笑)。多くの人に楽しんでもらえるものをつくりたい。
 自分は初めの頃は『ちびまる子ちゃん』などのファミリーピクチャーをやっていたので、そういうのもつくりたい。
・個性が無いと思っていたので、『ケモノヅメ』(2006年 TV)の頃まで奇抜なことをやらないとと思っていた。


●第二部 仲間たちとの話

画集『湯浅政明大全』(9/18発売予定)の話
※出版社の飛鳥新社の担当者の方も登壇

・作品つくる前にスケッチブックにバーッと描く。それをまとめたもの。
・2、3年前にはじめて話があった。
・ダンボール11個くらい送って見てもらった。


伊東伸高さん(アニメーター、キャラクターデザイナー)、チェ・ウニョンさん(アニメーター、演出家)との話

伊東さん>
(湯浅監督と一緒に仕事をしたのは『ねこぢる草』(2001年 OVA)から)
・『八犬伝』を観て衝撃受けた。
(『THE 八犬伝 〜新章〜』(1993-95年 OVA) 湯浅さん作画監督作の4話か)
・『ねこぢる草』ではじめて会ってみたら、普通の人で安心した。
・『マインドゲーム』で線を汚くしたけど、まだ足りなくて『ケモノヅメ』でもっと汚くした。

湯浅監督>
・伊東さんはスケジュールができるから頼りになる。
・『ピンポン』のキャラデザは伊東さんが主導。
・『ピンポン』では今までで一番かっこいいカットを描いてた。


ウニョンさん>
・アニメーションを勉強しにイギリスに行った。
 勉強しなければとディズニーから観た。
 その後、ジブリ→森本晃司さん→湯浅さんはネットでMADを観て知った。『ちびまる子ちゃん』(『映画ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』1992年)の「買い物ブギ」を観て楽しそうと思った。
・日本に来てGONZOの作品をやる。うまくいかず。
・『ケモノヅメ』のとき、原画の経験無かったので1話のタイミングがめちゃくちゃだった。伊東さんに直される。

伊東さん>
・はじめ下手だったけど、『四畳半神話大系』『ピンポン』と本当にうまくなった。


「サイエンスSARU」会社設立について

湯浅監督>
・会社でないと受けられない仕事があってつくった。
 『アドベンチャー・タイム』(2014年 海外アニメ Season6の「Food Chain」)制作受注のとき。
(参照:湯浅政明、カートゥーンネットワークの人気シリーズに監督参加 – ライブドアニュース
・ずっと会社つくれない、人の面倒など見れないと思ってた。
・ウニョンさんとFlashがかなり出来るスペインから来た人2人と計4人で。
・ウニョンさんがマネジメントみたいなこともやってたので、そこら辺出来るかなと。
・よく猿みたいなわからないものを落書きしていて(参照:Science SARUのツイッターのプロフィール画像)、それが猿だとウニョンさんに言われた。猿よりも賢い感じにしたくて、サイエンスを付けたのが会社名の由来。
・Flash使って映画をつくれればなと。
・『ピンポン』は作画(手描き)で難しいところはFlashでやった。

小黒さん(フォロー発言)>
・りょーちもさんとかのFlashでのつくり方とは違う。
 Flashで(1枚ずつ)絵を描くのではなく、オブジェクトとして動かす方法。


小黒さん>
湯浅監督につくってもらいたいものは?

ウニョンさん>
・もっとみんなが観て楽しめるもの、家族で楽しめるものをつくって欲しい。

伊藤さん>
・ずっと長く続けられるもの。
 でもそれが(当時の湯浅監督にとって)『ケモノヅメ』だったので、もう信用してない。好きにつくったらと。


辻田邦夫さん(色彩設定)、河野羚さん(美術監督)との話

湯浅監督>
・辻田さんは軸になって色々やってくれる。
・河野さんは『ケモノヅメ』『カイバ』『四畳半神話体系』でやってくれた。
 仕事が速くて、男前、頼りになる。現場が厳しいときにすごろくやトランプつくったりして遊びを忘れない。そのときつくった河野グッズが沢山ある。
 『四畳半』で木が柄のようになってるのは、河野さんがつくった。

河野さん>
・湯浅さんに”文学的な背景で”と言われた。

辻田さん>
・昔から湯浅さんの作品を追っかけてたわけじゃない。
・『四畳半』で影無し(作画)を経験し、色ってどんなものでもいいいんだと思った。

湯浅監督>
・『ピンポン』は経験したこと無いくらい大変だった。
 今までに無いくらいのモノづくりのギリギリの感じ。

辻田さん>
・そういう状況でどうつくっていくかというのが楽しい。中毒。TVアニメ中毒。
・自分でやりたい(1からつくりたい)とは思わない。どうやったらプラス出来るかというのがやりたい。

湯浅監督>
・『スペース☆ダンディ』(16話)は作監付くと思ったが、付かずに自分でやることになり大変に。
(脚本・絵コンテ・演出・作画監督・原画・美術デザイン・ゲスト宇宙人デザイン担当)

河野さん>
・クリエイターの現状維持は後退と言われる。


藤尾勉さん(プロデューサー)との話

湯浅監督>
・藤尾さんは『ケモノヅメ』から4連続でプロデューサー担当。
・はじめて会ったとき、シビアな人だと思った。
・危ないときほどにっこりする。よく会社で寝てる。
・現場思い、現場を重視してくれる。


●参加者とのQ&A

Q:『ピンポン』『四畳半』『クレヨンしんちゃん』でロボットが出てくるが何か意図はあるのか?(←うろ覚えです)
A:
湯浅監督>
・たまたま。みんなそんな観てないかな?と。
 ロボットは形として比喩として使いやすい。

Q:『Kick-Heart』をクラウドファンディング(ネットのシステムを利用した資金調達)でつくったことに対して
A:
湯浅監督>
・先にお金を貰うのでプレッシャーが凄かった。

Q:原作物でどうやってオリジナル部分を足しているか?
A:
湯浅監督>
・適当に。
 原作読んでなんかそうなんだろうなと思うことを足す。


●最後の挨拶

湯浅監督>
・もうちょっと頑張るので、期待してください。


イベントに参加して

自分が湯浅監督作品のファンになったのは遅くて、数年前に『マインドゲーム』を観てからでした。
その作画・演出・色遣い・メタモルフォーゼが独特でユニークで気持ちよく、魅了されました。

今回の話を聞くと、ご本人はそうした独自の才能やユニークさについて、周りからの評価と比べると、それ程は価値があると思われてない感じで特別自信があるわけでもなさそうなのが意外でした。謙遜からかもしれませんが。
そのことから、意識的に努力等しなくても元々当たり前に自然にもっている感性・才能なのかなと思えました。子どもの頃から元々美人の人や勉強できる人等が、それが自分にとってごく普通のこと・自然なことのように。
でも立体的な絵等がうまく描けないコンプレックスの方に意識をよりもたれているため、自身のユニークな才能にそれ程肯定的になれない面もありそうに思えました。

話を聞く前は、もう少し自分の才能・センスに自覚的・戦略的になって作品づくりをやられているのかなと勝手に思ってました。
でも少し違っていたようで、発想やそれらをまとめる段階では、自分の感覚の方に重きを置きそれに素直に従ってつくられていられるような感じを受けました。

今回の話を聞いて(ここに記載してない細かい話等でも)、湯浅監督は面白いことを見付ける視点が普通の人と違いユニークだなとも思わされました。 普通の人は、自分の会社名に感覚的に「サイエンスSARU」と付けないでしょうし、また会社のスタッフを全員外国人にはなかなかしないように思います。
何となく子どもの頃からユニークな視点をもたれていたように憶測しますが、独自でユニークな感性・才能がどう育まれきたのか、それぞれの発想がどこから来るのかという謎がさらに知りたかったです。
湯浅監督の発想は感覚的な部分が大きそうなので、うまく言語化してもらうのは難しいように思えますが。

最後の挨拶で”期待してください”と話されてたので、新作も進んでそうに思え楽しみです。
“今後は家族揃って楽しめるようなものをつくりたい”とも話されていたので、原作物が続くかもしれませんが、映画やTVのオリジナル物での新しい湯浅ワールドも是非観たいです。


※参照(直接は関係ないですが)
【ARCHIVE】「この人に話を聞きたい」第4回 湯浅政明(1998年のインタビュー)

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この記事に対して問題等ありましたら、連絡先ページまで。

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