FROGMANさん、谷東監督 セミナー「テレビアニメ次世代のスタイル ―アニメのかたち―」 (2012.6.30):レポート

2012年7月8日(by キョウ) コメント0

6月30日(土)に代々木アニメーション学院主催 業界セミナーvol.4「テレビアニメ次世代のスタイル ―アニメのかたち―」に行ってきました(前回vol.3は行きませんでした)。
講師は、DLEのFROGMANさん、谷東監督。会場は、代々木アニメーション学院 東京本部校。
当日はUstreamでの生放送もありました。アーカイブは無いみたいです(たぶん)。
久しぶりにレポートします。


【注意】
  • 自分が取れたメモをもとにまとめ+記憶で補足している部分もあるので、実際の発言や本意と少し違ってしまっている箇所もあるかもしれません。悪しからず。
  • 話の内容を部分的にしかフォローできていません。
  • ( )内は主に自分による補足説明です。

 ※記憶違い・間違い等があれば、コメントでもください。


●FROGMANさん、谷東監督の簡単な略歴
(当日配られた資料とネットの情報を参照)
FROGMANさん
・映画やドラマの制作スタッフとして十数年働いた後、島根に移住。
 そこで制作したWeb向けのFlashアニメ『菅井君と家族石』がWebで注目される。
・DLE入社後、2006年に地上波TV放映されたFlashアニメ『秘密結社鷹の爪』(『THE FROGMAN SHOW』内にて放映)でブレイク。
・監督・脚本・キャラクターデザイン・録音・編集・声の出演などをほとんど一人でこなす。
・映像ブランド「蛙男商会」(現在はDLEの社内ブランドのよう)代表。

谷東監督
・実写の制作現場でディレクターの従事後、DLEに入社しプロデュサーの仕事をされる。
・その後、主にFlashアニメの監督をやるようになる。
 原作ものを手掛けることが多い。監督作として『テルマエ・ロマエ』『ほんとにあった!霊媒先生』『這いよる!ニャルアニ 』『ピューと吹く!ジャガー』など。


※司会はこのセミナーのレギュラー(?)とも言えそうな漫才師のサンキュータツオさん。
 今回も頭の回転が速く、よどみない司会ぶりに感心。
 今回は、セミナー参加者等から事前に募集した質問に答えてもらう形での進行でした。

●DLEで制作をするようになったきっかけ

谷監督:
・FROGMANをDLEに引っ張ったのは自分。
 大阪のFlashイベントで声を掛けた。FROGMANの独自の才能が好きだった。
・DLEでは、プロデューサーをしていたが、『鷹の爪』制作時に作画する人が足りなくなり絵も描いていたら、ディレクターも出来るのでは?という話になり、ディレクター(監督)をやることになった。

●『テルマエ・ロマエ』について

谷監督:
・去年の年末くらい(2011年11月)に話があった。初作画打合せは11/26。
 急発注多い。DLEではよくある話。
 当初3月放送予定が1月に変更。
・会社では、FROGMANのことは本名の小野さんで呼んでいる。

FROGMANさん:
・この原作を映像化したら面白くなくなるのでは?と思っていた。
 モノローグ(独白)多いので難しい。うちはダイアローグ(対話)中心なので。

谷監督:
・その解消法として、原作よりも掛け合いを多くさせてもらい、背景を外注していつもの作品より豪華にした。
・ノイタミナ枠だと怖かった。大炎上するのでは?と思った。
・放映中、ツイッターと2chはチェックしていた。批判もあったが、結構温かい意見多かった。

FROGMANさん:
・炎上マーケティング狙ったのでは?と思った(笑)。
・自分のお客さんで無いところでやるのはプレッシャー。それならもう炎上させてやると取り組んだ(笑)。

●Flashでのアニメ制作について?(←質問をメモ出来なかったので違う質問内容だったかも)

FROGMANさん:
・今でもアニメ制作よくわかっていない。
・島根在住時代に、映像をどう安く早くできるかと考えていた。
・ネットが普及しだした90年代半ばや後半、ショート(な作品)が流行ると思った。
 小さいデータの作品で。大きいところ(制作会社)はやらないだろうと。一人や二人の少人数でつくるものになるだろうと。
 →上記のことを考え、Flashアニメ制作へ。
・自分の作品では、自分で声を出すので女性をなるべく出さないようにしている。
・少人数制作なので打合せ要らない。
・DLEでは、シナリオ→MA(映像用の音声・BGM・効果音編集作業)→完パケ(仕上がった作品)まで社内で行なう。
・ネットで受けるのは、エロ・グロ・ナンセンス。
 エロもグロもやりたくなかったので、ナンセンスに。
・絵がうまくなかったのでヘタウマ風に。
・ダイアローグに気を付ける。
 お笑いの人のテンポも参考にする。

谷監督:
・2chのFlash板で挙げられている作品をTVでやったら面白いだろうと思っていた。

●TVとWebで制作方法変えているか?

FROGMANさん:
・Web用では5分以上はつくらない。
 DLE等のWebサイトの解析でも、はじめの1分も観てくれない人が多い。
・Web用・携帯用では、キャラクター大きくする。小さい画面でもわかるように(携帯)。携帯では背景もあまり描かない。
・映画は、キャラ大きいと集中できないので小さめにした。背景もそこそこ描く。

●今後のアニメ制作について

谷監督:
・デジタル化進むだろう。ピクサーなどの先例もあり、フル3DCGは海外で受けるのでは。

FROGMANさん:
・日本の萌え絵は世界的マーケットでは受け入れられてない。
・ファスト・アニメーション(お手軽な2分とか5分くらいのアニメ?)を目指す。
 海外に向けた2~5分の作品の需要は増えるのでは? 現に増えてきている。

●アニメ業界で足りているもの、足りていないものについて

谷監督:
・制作のお金足りない。低コストでつくなければならない。

FROGMANさん:
・足りているもの⇒技術。原作やアイデアの豊富さ←海外からの視点だと羨ましがられるレベル。
・足りないもの⇒原作やアイデアの豊富さを生かしきれていない。
 放映や作品展開する海外現地でも著作権管理する会社をつくって、デイズニーのように収入得るようにしないと。

●Flashでつくるアニメの魅力とは?

谷監督:
・3~4人でつくるのに最適。1つのツールで全て出来る。

FROGMANさん:
・個人制作でとても可能性ある。コスト安く出来る。
・一人でも全て出来るので、自分のイメージを具現化できる。

●1時間とか大河ドラマ並みに長いアニメ制作について

谷監督:
・Flashで多人数のスタッフで動かすものをやってみたい。

FROGMANさん:
・DLEでは実写あがりのアニメーターは自分だけ。
 他のアニメーターは作画がちゃんと出来る人たちなので、予算と時間があれば出来る。

●制作の人数構成について

谷監督:
・『テルマエ・ロマエ』では、作画スタッフ4、5人。

FROGMANさん:
・アシスタントスタッフは、レギュラー2人。自分と合わせて計3人。
・週15分くらいを3人でつくる。

●プレスコ(セリフ等を先に収録する方法)の醍醐味について

FROGMANさん:
・自分はアフレコで出来なかった、絵に合わせてセリフを喋れなかったので、プレスコを用いた。積極的な理由からではない。
・『秘密結社鷹の爪』は、一人で何役も頭から通しでセリフを言って収録している。
・DLEで『秘密結社鷹の爪』制作時、はじめは録音スタジオがなく、布団を被ってパソコンにマイクを差し込んでセリフ収録。
 はじめの『秘密結社鷹の爪』(2006年)では、よく聴くと社内のノイズ入っている。電話を受けている声も。

●面白いと影響受けた作品や人物は?

谷監督:
・学生のときの先輩(現在、アニプレックスのプロデューサーの方)の影響。映画等いろいろな作品を教えてくれた。
 学生のときは実写をやろうとしていた。

FROGMANさん:
・ウディ・アレンの映画。
 ユーモアのセンス、ダイアログ、知的なところなど影響受けた。
・山本周五郎、藤沢周平の小説。
 話とかで。日本人の感情の機微等、参考になる。短い話が多いのも参考になった
・赤塚不二夫原作のアニメ作品、『ご根性ガエル』。
 自分のアニメ経験はそこまで。作品が懐かしいと言われることもあるのは、そうした理由もあるのでは。
 声優の野沢雅子さんにも”最近は綺麗な絵ばかりで汚い絵は懐かしい”と言われた(笑)。
・ギャグは、人の心を掴まなければならない。相手の心を解いて好きになってもらわないといけない。

●企業とのコラボレーションで気を付けていることは?

谷監督:
・企業と観るお客さんの両方のことを考える

FROGMANさん:
・修正の指摘を受けたら、一部だとしても全てつくり直す。
 一部だとしても全てに関係していることが多く、別案で出した方が速いので。
 そういったことを積極的にやれるのがFlashアニメの醍醐味。
・『秘密結社鷹の爪』は、権利の全てをDLEがもっている。
・DLEでは、オリジナル作品は全て権利もつようにしようと考えていた。
 製作委員会方式だと1社でも反対があったら、物事を進められない。
 全て権利もつことにより、機動力をもつことが出来る。Flash制作であることも更に機動力をもてる。

●つくりたい作品の方向や題材について

谷監督:
・皆が観て盛り上がれるものをつくりたい。

●Flashアニメの今後の可能性について

FROGMANさん:
・ファスト・アニメーション(お手軽な数分の短いアニメ?)の需要が高まる。
 視聴者する人の集中力が無くなってきている?
・Flashアニメは作画・演出・背景等の質がそこそこでも観られるものになる。
・若い人にも入ってきて欲しい。

●よいクリエイターの条件は?

谷監督:
・自分が意図していることを伝えるコミュニケーション能力。
・つくりたい情熱。

FROGMANさん:
・敢えてお金大好きになって欲しい。お金に悩むよりも作品だけに集中できるようにするため。
・島根で活動していたとき、Flashでお金儲けするのを批判されてた。


●受講者とのQ&A

Q:ネット等の反応をどう受け止めているか?
A:
谷監督:
・慣れないときは本当に傷ついて、1週間くらい何も出来なくなったりした。
・今は慣れて、自分では発想できない意見もあり、それを取り込んだりすることもある。
・傷つくこともあるが、参考にしている。

FROGMANさん:
・ネットの意見見るが、いい意見だけ参考にするようにしている。

Q:個人制作をしている人をどう思うか?
A:
谷監督:
・増えたのは喜ばしいこと。

FROGMANさん:
・すごい作品をつくる人でも、そのままの人がいて、もったいない気がしてる。
 プチ・クリエイターが沢山いるが、それで食おうとしている人が少ないのが気になる。
・そういう人が本気でやってみようと思う業界つくりたい。

Q:どのようにオリジナルキャラをつくるのか?
A:
FROGMANさん:
・雑談から。
・昔観た映画とかからももってくる。
 ゼロからだと時間が掛かるので。


●最後に一言

谷監督:
・学生の人へ-厳しい業界ですが、夢をもってがんばってください。

FROGMANさん:
・今日は歴史的な日だ。
 TVではじめて(自分の作品が)放映されたとき、ケチョンケチョンに言われたが、日本のアニメーション教育の総本山的な代々木アニメーション学院でプレゼンテーションできた。


今回セミナーを受けて

ここしばらく全般的にやる気が出なく、このブログも更新してませんでした。
そんな中、今回のセミナーのお知らせメールが来ました。
FROGMANさんの作品は『THE FROGMAN SHOW』放映時から、シュールでユニークで独特なノリ・テンポ・会話劇が好きで、また以前Flashアニメ作品がネットで盛り上がっていたときには(2000年はじめ~半ばくらい?)そういったFlash作品も観ていて(自分も昔、Flashの簡単な作品を少しつくっていたし)、興味が高かったので受講することにしました。

FROGMANさんの作品では、キャラのセリフがメタ視点的(? 俯瞰視点的?)なこともあるので、ある程度物事を考える人なのかな?と思っていましたが、自分の想像以上でした。
作品の軽やかなノリの印象もあって、ここまで戦略的に、現状や近い将来・ユーザー・自分の能力等を分析して制作・マネタイズ(収益化)を考え実行していると思っていませんでした。
後で知ったのですが、DLEの取締役もされているので、昔から考えられているとは言え、立場上でも納得です。

谷監督の「ネットの反応に慣れないときは本当に傷ついて、1週間くらい何も出来なくなったりしたが、今は慣れて、自分では発想できない意見を取り込んだりすることもある。傷つくこともあるが、参考にしている」という話にも感心しました。自分もそういう姿勢は少しは見習わないと。

現在、日本の商業アニメでは、昔と比べると映像がとてもリッチな作品が多くなりました(そうなった大きな理由として、BD・DVD等のパッケージ販売で制作資金回収&利益を得るビジネスモデルが主流になり、そうした目が肥えたユーザーの要望に応えるため、TV放映のHD化により大画面に耐えうる高画質の作品をつくらなくてはならなくなったため、また作画・背景・特殊効果・撮影などの制作技術の向上・デジタル化の恩恵があったためという点等があると思われます)。
一方、それとは違う道を歩んできたシンプル(チープとも言われてしまいますが)で親しみやすい印象があるFlashアニメが今後どういう方向に進化していくか、興味深いです。
また、一般の商業アニメの作画にFlashを使用するアニメーターが少しずつ増えている点もまた違う道に続いていきそうな面もあり、そちらも関心がもたれます。

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この記事に対して問題等ありましたら、連絡先ページのメールアドレスまで。

レポートと関係ない余談

  • 毎回レポートしてきた「アート・アニメーションのちいさな学校」のアニメーション監督術についてですが、2010年12月の片渕須直監督以来1年以上も講義が行なわれなかったので、学校スタッフの方と相談して前納分等を返金処理してもらいました。
    今年2月の連絡時点でもまだ講義の予定が全く決まってないとのことでした。
    気になったので、講義が1年以上決まらなかった理由も聞いたのですが、その返答はもらえませんでした。

    中途半端に終わる感じになりましたが、毎回、違う監督から直接興味深い話が聞けて、そうした経験ははじめてで貴重な経験でした。よい思い出にもなりました。
  • だいぶ前(去年はじめ頃?)にこのブログにTwitter、はてブ、拍手のボタンを設置しました。
    設置した主な理由は、記事を読んでくれた人の反応や評価も知りたかったから、見に来てくれた人に各記事の人気等を数字でわかるように表示しておきたかったからです。

    他記事と比べアクセス数は少ないのに『けいおん!!』の感想に結構拍手を多めにもらえているのがうれしかったです。多めと言っても二桁いってませんが(笑)。
    文章にまとめるのは昔から時間掛かるし(自分の思いだと特に)、なかなかいいもの書けず苦労したのですが(毎回ですが)、『けいおん!!』好きな何人かには伝わったんだなと。
    それ以外でも拍手ボタン等で反応していただいた方、ありがとうございました。
  • 実は今年になってTVアニメに対する興味が急に薄れました。
    たぶん10年くらい前から、深夜TVアニメの新番組はほぼ全て2~3話まで録画し視聴していました。その後に見続ける作品を選んでいました。
    しかし、今年1月からは録画しても新番組を1つも観てませんでした。観る時間はそこそこあったのですが。

    理由を考えてみると大きく3つくらいかも。
    1つ目は視聴環境を変えたためか、視聴自体が体調的に辛くなってしまった点。
    昨秋からパソコンでの録画・視聴環境に変更したのですが、パソコンのモニタでしばらく観ると、眼が疲れ身体がだるくなったり頭痛になったりするのです。そのため前より視聴が苦痛・億劫になり、録画番組も溜まっていきました。加齢とともに目が疲れやすくなってはいましたが。
    パソコンだと視聴しながら他の作業も出来るので、途中で他の作業をし集中して観なくなったのも視聴から離れた一因かもしれません。

    2つ目は、TVアニメの内容自体に興味が薄くなってしまった点。
    視聴自体が体調的に辛くなってアニメの作品世界から遠ざかったせいもあるのか(?)、人間関係や人物や心情が現実感を感じさせないような作品を観るのがうんざりな感じになっていました。個人的に前からそういうテンプレ的な作品やドラマチック過ぎる物語に食傷気味&魅力を感じられなかったのですが。
    いかにも頭だけでつくられたような話や設定に少しうんざりな感じになっていました(昔からですが)。
    昔から(部分的でも)現実感ある人間関係や人物や心情がうまく描かれている作品が好きなのです。アニメでそれを求めるのは矛盾してる面もありますが。
    あと深夜アニメは主要キャラの年齢がほとんど10代で青春ものや成長ものが多く、自分が年齢的に中年なので、そういった世界に入りづらくなったこともあります。
    自分や周りの現実の状況がそんな世界と距離があり過ぎて、急に入りづらくなってしまいました。以前はそこまで気にしてなかったと思うのですが。

    3つ目として、自分が全般的にやる気が低くなっている点があると思います。

    そんな風に録画だけして視聴しない状況が続いていたところ、何だか決定的なことが起こりました。
    5月末にパソコンのTV録画・視聴ソフトが不調になり、試行錯誤しましたが、結局、録画番組全て再生出来なくなったのです。
    録画ファイル自体はあるのに、今年1月からの未視聴録画番組500タイトル以上が全滅。恐るべしデジタル放送の著作権保護。

    でもそんなにショックではなかったのです。
    興味ある作品を後からネット配信やレンタルで廉価or無料に観られる状況があるとは言え、アニメに対する興味が落ちたんだなと再認識しました。
    まあ90年代にも当時やっているアニメに興味がもてなくなった時期がありましたし。
    興味が落ちたと言っても、自分の好みに合いそうな・興味がある夏の新番組は少しは録画しています。今までのように全新番組を録画することは止めました。
    長年浸かっていた深夜アニメの視聴趣味から少し離れてみるよい機会なのかもしれません。

    パソコンモニタで視聴すると体調が悪くなる問題は、液晶TVを購入し、それをパソコンと繋げ録画した番組の再生にも使う方法で解決しようかなと思っています。
    試しに他の部屋の液晶TVを自室に持ってきてパソコンと繋げてしばらく観てみたら、視聴距離も長めに取れたせいか(?)、自分のパソコンモニタで観るのと比べて目は疲れない感じで(パソコンモニタが自分に合ってない可能性も高いですが)、また床に座って見た方が観やすかったので。
    BD等にバックアップしないと、また録画番組が全て視聴できなくなるリスクはありますけど。
    その方法で目の疲れがかなり改善するとよいのですが。

以上、興味ない人にはどうでもいい余談でした。


講義やセミナー等のレポートは、興味あって参加したときは、また書くことあると思います。更新期間空くかもしれませんが。

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