アニメーション監督術 第8回 鈴木伸一さん:レポート

2010年05月3日(by キョウ) コメント0
5月1日(土)に[アート・アニメーションのちいさな学校]のアニメーション監督術の8回目を受講しました。またほぼ2か月振り。
今回は、アニメーション作家・監督・漫画家等の鈴木伸一さん。アニメ制作グループ「G9+1」のメンバー、杉並アニメーションミュージアム館長、藤子不二雄の漫画キャラクター「小池さん」のモデルにもなった人です。
アニメーション研究家の原口正宏さんが聞き手役でした。
会場は30〜35位の人。
以下、簡単なレポートです。

【注意】
  • 自分が取れたメモと記憶をもとにまとめています。
  • メモがうまく取れず、記憶から補足し、だいたいの要点でまとめている箇所もあります。
  • そのため監督や発言した人の本意とは少し外れてしまった点もあるかもしれません。悪しからず。
  • 話の内容の全てをフォローしていない&できていません。

 ※記憶違い・間違い等があれば、コメントでもください。



●「おとぎプロ」時代

・「トキワ荘」にいた頃、デザインスタジオに勤め、デザインの仕事をしていた。
 しかしデザインが肌に合わなかった。
・アニメーター募集があると声を掛けてもらい、漫画家・横山隆一さんの「おとぎプロ」に入社。
・主にアニメーターの仕事をしていた。横山隆一先生がイメージリーダーのような役割。
・原画と動画の区別無く、送り描きで制作していた。
・「ふくすけ」をスクリーンで視聴。
 いろいろな種類のフィルムを撮影で使用したため、色調が部分部分で変わっている(フィルムメーカーで変わるとは知らなかったため、映画会社の余ったフィルムを買って使用していた)。
 当時のセルが厚いため、ハレーションもたまに写っている。
 鈴木さんの初アニメーター作品だが、とてもうまい感じ。原口さんも同様に感想を。


●「スタジオ・ゼロ」時代

・「スタジオ・ゼロ」に入った理由として、「おとぎプロ」は横山隆一先生の趣味の延長的で、他のところにも行ってみたかったためとの事。
・作画監督の仕事、原画の仕事をしていた。
・「嘆きのボイン」をスクリーンで視聴。
 メインのキャラクターデザインは、藤子・F・不二雄さん、サブキャラは自分もデザインした。
・個人でアニメーション制作もしていた。絵コンテなくメモから制作していた。
・自主制作の「点」「ひょうたん」をスクリーンで視聴。
 メタモルフォーゼ部分の作画が面白く、話の展開もユーモラスで楽しい作品。


●「Mina」(ユネスコ・アジア文化センターの識字教育・環境問題アニメ)に関して

・マレーシアで制作してもらった。
・作打(作画打ち合わせ)は、現地のスタッフに絵コンテを見せて説明。
・その後は、ラッシュでチェック。
・結構、自分の思った通りには上がって来ない。
・キャラクターデザインはマレーシアの有名な漫画家・ラットさん。
 日本のキャラクターと違い、口が横に広く、女性の目も独特。
・絵コンテと作品をスクリーンで観せてもらう。
※参考ページ:国際協力プラザ 国際協力NEWS:ZOOM UP:アニメ作品を通じて識字や環境問題を身近なものに


●「チックン・タック」に関して

・絵コンテと作品をスクリーンで観せてもらう。
・はじめてのクレイアニメ。
・エフェクトは作画で。


●「穴」(G9+1)に関して

・コンテを皆で持ち寄って順番決めた。
・スクリーンで作品上映。
 この作品もメタモルフォーゼ部分の作画が面白い。


●今後に関して

・G9+1はずっと続けていく。
・杉並アニメーションミュージアムや学校で、アニメーションの楽しさ・面白さを伝えていく。
・アニメーションの審査をやることが多い。最近の若い人はうまい。(作品が)暗いのが多いかな。でも「フミコの告白」(作者:石田祐康さん)は明るくてよかった(笑)。


●受講生とのQ&A

Q:トキワ荘の頃などの昔の話を聞きたい。
A:なぜトキワ荘がまだ人気があるのかわからない。
 トキワ荘は、人間関係がよかった。面白かった。友達もいて話が出来たりして安心出来た。

Q:トキワ荘の人たちの恋愛話等があれば聞きたい。
A:皆、そういう話はしなかった。
 赤塚不二夫さんは、当時、格好よくてモテていたのでは?

Q:アニメを勉強している人へのアドバイスをください。
A:意外と作品を観ていない。
 自分の好きな現在のアニメ等はよく観ているが、昔の古典や、昔の名作を観ていないので、一応観てほしい。
(昔の名作等は、自分もほぼ観ていない気がします。。機会があれば、観ようと思います。)


講義での話は以上です。
懇親会は、鈴木伸一さんの作品をほとんど観ていなかったこともあり、参加せず。


今回講義を受けて
講義からだけの印象だと、鈴木伸一さんは、ひょうひょうとして、無駄には悩まない楽天的な人のように感じました。
制作上で苦労もあると思うのに、あまりそういう事は話されませんでした。
また本当にアニメーションの仕事が好きな人なのだろうなと感じました。
絵コンテの絵も魅力的でした。
76歳という年齢に思えない若々しい感じの方でした。


監督術2009が終了次第、監督術2010の開講予定だったのですが、日程調整等の都合により、今回から「アニメーション監督術2010」の初回ともなりました。
監督術2009より引き続き受講の人には、別途対応してくれるようです。
このまま2009終了を待っているといつまで掛かるかわからないので、そうした方がよかったと思いますが、思った以上にずれ込み。。

次回講義は、5/29(土) 杉井ギサブロー監督の2回目です。

—-
この記事に対して問題等ありましたら、連絡先ページのメールアドレスまで。
何かあれば、コメントでもください。