10月10日(土)に[アート・アニメーションのちいさな学校]のアニメーション監督術の初回を受講しました。
ネットで情報を見つけ、”制作者を目指している方でなくとも、アニメーション制作に興味がある方ならば受講歓迎”との事だったので受講申込。隔週予定の5か月間です。
ちなみに主に以下の理由で自分は受講。
・アニメーションが好きで、アニメ制作自体に興味があるため。
・好きな監督さんの講義も多いため。
・制作の実際の話を聞きたい・知りたいと思っていたため。
初回は、杉井ギサブロー監督でした。
来年70になると思えない若々しい感じのちょっとダンディなw かっこいい人でした。
書くの遅くなりましたが、以下、自分がとったメモをもとに箇条書きで。
自分で要点をまとめた事で監督の思いとは少し外れてしまった点もあるかもしれません。悪しからず。
・はじめにアニメーションとアニメの違いの話から、その表現について語る。
・アニメーション=フルアニメメーション、アニメ=リミテッドアニメメーション(手塚治虫のTVアニメ「鉄腕アトム」からの表現)という意味合い。
・11歳でディズニーの「バンビ」を観てアニメーターになろうと思った。
・アニメーションは、コマ撮りで表現しやすいものを題材につくる。
・「アトム」制作前に在籍した東映動画では、ディズニーのフルアニメを参考にし2コマ打ちだった(1秒間24フレームの12枚)。
・「アトム」制作時、新しいアニメーションはじまると思った。フルアニメーションをやりたかったが。
・「アトム」の初号を見たら、動かないのに面白かった。それから”動き”についてが自分のテーマに。
・自分は作品毎に動きの演出を変えているつもり。
・アニメーションの”動き”の原理=「速度」「軌道」「変形」
・ディズニーの「白雪姫」で、アニメーションでも質感、量感、情感を獲得した。
・「アトム」は物語重視で動きの質感、量感をカット
・量感はフォルムと動きで表現
・アニメの絵は質感が欠落。平面で記号的なので。
・欠落している質感をどう補うか。
・人はモノの質感から多くの情報を得ているのでは?→質感が情感に強く影響しているのでは?
・暗い方が質感が出やすい。
・35歳くらいのときにアニメの表現の壁にぶつかり、以後10年くらい放浪していた。
記号的なアニメでは情感を表せないのでは?と思い(約束事の情感なら伝えやすいが)。
放浪先の地方から「まんが日本昔話」のコンテを送っていたりもしていたが。
・その後に宮沢賢治原作の映画「銀河鉄道の夜」の依頼があり監督をする。以下、その映画について。
映画「銀河鉄道の夜」の抽象化した表現→広がりが出てくる。受け取った人にお任せ。
ジョバンニを誰にでも当てはまるように抽象化した。原作は宮沢賢治が10年掛けて推敲し抽象化したもの。原作初稿時は、わかりやすかった。
キャラをネコにしたのは、具体化を避けられるため。
感じ取る領域で作品を発信するものにした。
アニメ表現は、説明するものでなく、感じ取れるものになるのでは? そうでなければ、自分はアニメの仕事をやらなくていいのではと思っていた。
・わかる・わからない→了解事…わからないもの排除
・抽象的な動きで説明しづらい情感や”感じ”を伝える作品をつくりたい。
・説明しやすいものより、何となく良いもの、感じ取ってくれるもので作品をつくりたい。
・映画などは見る人が、その作品から増幅するもの、増幅して感じとってもらうものであって欲しい。
演出・作画、監督のアニメーションの表現に対する思い・こだわりなど興味深い話がいろいろ聞けました。
面白かったです。来年2月までこれでイキられる?w
杉井監督は、職人のような芸術家のような仕事の取り組み方&印象の人でした。勝手な感じとしては、職人寄りの芸術家な印象かな。
絵もうまく、動画もつくれ、演出もできる人なんて、自分はうらやましいです。
人間にとって&作品にとって”物語”の力は非常に強いと自分は思っているので、その辺りはどう思っているのかも別に聞いてみたかったです。
感じや感覚的なものを伝える抽象表現は、本当にそれを受け取る側の感受性や訓練(?)による部分も大きいので、面白そうだけど難しそうです。わかる人にはわかる的な表現になっていくし。それでも優れた表現なら全然良いと思いますけど。
個人的にそういう表現でわからなかった場合、少しむなしい・悲しい・悔しいwですが。
表現例として一部DVD上映された杉井監督作品の中でも、監督が意図したように自分が感じられなかった作画表現もありました。わかる人にはわかるんだろうな。
映画「銀河鉄道の夜」は機会があれば見ようと思っていたのですが未見。そのうちレンタルして見ようと思います。
次回も楽しみ。なのですが、杉井監督の2回目のはずが、監督がコンテ仕上げのため延期&日程未定に。しかも次回は11/14とまだ先。残念。
その他の講師は、佐藤順一監督、大地丙太郎監督、原恵一監督、細田守監督etcと豪華ですが、ちゃんと全員来てくれるかな。
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お知らせ[2014/9/10]:
ブログのシステムを変更したところ、以前の記事URL(http://close2.net/anime/2009/10/-1.html)が引き継げなかったため現URLに変更しました。